運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
健斗はまだ目を覚ましていない。

私は病室に一人残り、健斗の手を握っていた…

暫くすると、病室のドアが開き、誰かが入ってきた。

「…龍崎部長…」

「高山君は助かったようだね…良かった…」

「…あなたが…健斗を助けてくださったのですね…」


その時、龍崎部長はよろめき、倒れそうになった。
私は駆け寄り、龍崎部長を受け止め、抱きしめた…

「大丈夫ですか…龍崎部長…」

「悪いな…少し目まいがしたようだ…」

龍崎部長の顔色は青白く、体は少し震えている…

「健斗のために…大切な美しい羽を…渡したのですね…」

「…約束したはずだ…君を悲しませることはしないと…」

「…そんな…これではあなたが…」

「…大丈夫だ…気にするな…命には別状ない…」

「…でも…龍崎部長…」

私のために…自分を犠牲にするなんて…
私が助けてなんて言ってしまったから…

私のせいだ…

その時、健斗の目がゆっくりと開いた。


「…め…めぐ…み…」

「…健斗…大丈夫…。」

「…俺…生きてるんだ…」

「健斗…生きてるよ…助かったんだよ…」

「俺…死神を見た…でも…誰かが俺の腕を引いて助けてくれたんだ…」

「…健斗…よかった…」

いつの間にか、病室には龍崎部長の姿はなかった…

健斗の事故から1週間が経っていた。
健斗は日に日に元気になり、少しずつ歩くことも出来るようになる。

「健斗、もう少しだね…歩けるようになるなんて…奇跡だって先生も言ってたよ…」

「心配かけてごめんな…恵美のためにも早く元気にならなくちゃな…」



ただ…私には、もう一つ心配があった…

あれから、龍崎部長は会社を休んでいた…

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