運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
…翌日…

私は会社を休み、龍崎部長の家を訪ねていた。

「たぶん…このマンションみたいだけど…ここの18階かな…」

“ポーン”

高層マンションのエレベータが18階に着いた。


「ここだ…“龍崎”と表札が出ていた。」


“ピンポーン”

ベルを押すが返事がない…
まさかと思ったが…ドアを開けてみると…

カチャと音をたててドアが開いた…

「えっ…開いてる…お…お邪魔…お邪魔します…」

玄関に入ると、目に飛び込んできたのは、女物のハイヒール…

「ど…どうしよう…お客様かな…?でも鍵も開いてるし…入ってもいいですか…」

中に入ってみると、広いリビングに整頓されたおしゃれな室内…
窓からは、街が一望できるベランダのテラスが見える…

「素敵な部屋…」

すると…何か声のような音が聞こえて来た…
奥の部屋からのようだ…

私は、そっと近づいてみると…

「あぁ…ん…もっと…気持ちいぃ…」

「っえ…まさか…」

女性の艶めかしい声が聞こえて来た…

私は恐るおそる…部屋のドアを少し開けて…
中を覗くと…

男性と女性が愛し合っている最中だった…。

「なに…これ…噓でしょ…」
私は慌ててしまい、壁に頭をぶつけた…ゴンッ

「まずい…見つかる…」

…やはり気づかれてしまった…

「もしかして…鈴木さんかな?」
この状況なのに、龍崎部長は慌てていない…

「あ…あ…あの…その…見るつもりじゃ…なくて…ごめんなさい…」

顔が爆発しそうに熱い…心臓が飛び出そう…

「ちょっと、リビングで待ってて…すぐ終わるから…」

「…」

すぐ終わるって…そういう問題じゃ…

それより…誰?

心臓が痛いほどドキドキと鳴る…
リビングのソファーに座り、深呼吸…

暫くすると、20代後半くらいの綺麗な女性と龍崎部長が部屋から出て来た…

龍崎部長は女性に微笑みながら…
「じゃあ、また次回よろしくお願いします。」
「…はい。お邪魔しました。」

先ほどのまでの、艶めかしい二人と思えない会話…

「…誰?」

女性が帰ると、龍崎部長は笑みを浮かべて私を見た…
「鈴木さん、よく俺の家がわかったね…」

「お…教えてもらって…それより…あの…今の…女性は…?」

「気になる?」

「…別に…気になりません。」

「…そう。気にならないんだ」

「…やっぱり…あの…」

「…やっぱりなに?」

「…き…気に…なります…」

「ふぅ~ん、気になるんだ。ハウスキーパーだよ。部屋の掃除に来てもらったんだ。」

「だって…さっき…ベットで…その…」

「セックスしてたって言いたいの?」

「やめてください…その言い方…」

「…可愛いね…照れるんだ…」

「それより…体はもう大丈夫なんですか?」

「ああ…だいぶ良くなったよ。」

「あの…申し訳ございません。私が無理なお願いしたので…こんなことに…」

龍崎部長は笑みを浮かべた。

「死にはしないと言ったはずだ…君が悲しむ姿は、傷よりも辛いんだ。」
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