運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
健斗はかなり回復して、会社へ出社することが出来るようになったていた。
休んだ分を取り返そうと、健斗は意欲的に仕事をしていた。
久しぶりに見る健斗の仕事姿は、輝いて眩しくもみえる。
突然、マネージャーが慌てた様子で、健斗に近づいて来た。
余程のことなのか、息を切らせて走って来たようだ。
マネージャーは汗を拭きながら健斗に話始めた。
盗み聞きのようで、悪いとは思うが耳を澄まして聞いていると…
「高山君、大変だよ!大切なお取引のお客様が、君をご指名なんだよ。すぐに来てくれないか?」
「…はい。マネージャーどちらのお客様ですか?」
「あぁ。三枝物産の社長が直接お越しだよ。」
(…三枝物産って確か…)
私は、先日の病院でお会いした女性を思い出していた。
赤いバラを持ってお見舞いに来た女性だ。
(…まさか、またお嬢様が健斗に何か用事じゃないよね?…)
1時間程して、健斗とマネージャーが応接室から戻って来た。
気のせいかも知れないが、二人とも顔色が良くないようだ。
二人の会話に耳を欹てる。
「高山君、数億円のお取引になるな…でも、条件がなぁ…困ったなぁ。」
「マネージャー、僕がもう一度話をしてみます。解ってもらえるように…」
「…あの感じじゃ難しいぞ…」
「…くそっ…あいつ!!」
健斗が仕事であんなにも怒りを表に出したことは、今まで見たことが無い。
余程、我慢が出来ないことを言われたのだろう。
(…健斗、大丈夫かな?嫌な予感がするな…)