運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
(龍崎さん…ありがとうございます…)
すると、健斗からの着信があった。
空港に着いた健斗は会社に直接向かうようだ。
「恵美…これから直接会社に向かうよ。一刻も早くこの動画を会社に届けないと、危ないからな。」
「…うん。私も支度したら会社に向かうね。健斗、気を付けてね。」
自宅に戻った私は、急ぎ身支度を整えた。
化粧をしようと、唇に手が触れたとき、龍崎さんの口づけを思い出してしまった。
「こんな時に…私、何考えているのだろう!」
会社に到着すると、既に健斗がマネージャーと話をしていた。
マネージャーは深刻な顔で話を聞いている。
恐らく、動画を見せたのだろう。
あんなに怒りを露わにした、マネージャーを見たのは初めてだった。
よほど動画が許せないのだろう。
…その日の午後…
三枝物産の社長と、役員とみられる男性が会社に呼ばれたようだ。
健斗とマネージャー、そして龍崎部長が応接室で応対する。
(…健斗…大丈夫だよ…きっと…)
数時間後、応接室から三枝社長が出て来た。
気のせいか顔色が悪いように見える。
それに続き、役員男性や健斗たちが部屋から出て来た。
三枝物産の方々が帰ると、マネージャーが私に声を掛けて来た。
「鈴木さん、ちょっといいかな、話がある。」
私を営業部の隅にある打ち合わせコーナーに連れて行き、健斗も呼んで3人でそこへ座った。
健斗の顔を近くで見ると、急に涙が溢れ出した。
健斗は私の頭をポンポンと優しく叩きながら、顔を覗き込んだ。
「恵美、全部終わったよ。心配かけてごめん」
(健斗が微笑んでいる。全部終わったんだ…)
マネージャーが今回の事件の説明を始めた。
「今回の件は、全て三枝社長に伝えたよ。もちろん動画の件もね。本来ならば警察に言うべきだが、何とか伏せて欲しいと要望があってね。取引は約束通り行う事と、今後は高山君に娘を近づけない事を約束してくれたよ。」
健斗はゆっくりと頷いた。
「僕は、解ってもらえて、取引もしてくれるなら、許すことにしたんだ。」
私は思わず健斗の胸に抱き着き、顔を埋めた。
健斗が無事であれば私は他に何も望まない。
“ゴ…ゴ…ゴホン…”
「鈴木さん、ここは会社なので…抱き着くのは後にしてくださいね。」
マネージャーに笑みがこぼれていた。
全て終わったと思っていた。
しかし、まだ終わっていなかったようだ。
就業時間も過ぎ、そろそろ仕事を終わらせようと思っていた時のことだった。
マネージャーは慌てて話し始めた。
「鈴木さん、大変だ!」
「…えっ…何ですか?」
「三枝物産のお嬢さんが事故で運ばれたそうだよ!」
「どういう…ことですか?」
「東京に急ぎ戻って来たそうだが、乗ったタクシーが事故に合い重体で危ないらしい。」
(…まさか…)
(…あの人が…)
すぐに私は、部長室に向かい走っていた。
部長室のドアをノックする。
“コンコンコン”
「…どうぞ…」
「龍崎部長、よろしいでしょうか?」
「…うん。そんなに急いでどうしたのかな?」
「さ…三枝物産のお嬢様が…事故に…合われたって…」
「そうみたいだね。」
「ま…まさか…あなたが…事故に合わせたのですか?」
「ひどいな…とんだ濡れ衣だね。」
「重体で危ないと…聞きましたが…」
「…可愛そうだけど、助からないと思うよ。」
龍崎部長は椅子を回転させて後ろを向いた。
窓ガラスに写る龍崎部長の顔に、笑みが浮かんだように見える。
すると、健斗からの着信があった。
空港に着いた健斗は会社に直接向かうようだ。
「恵美…これから直接会社に向かうよ。一刻も早くこの動画を会社に届けないと、危ないからな。」
「…うん。私も支度したら会社に向かうね。健斗、気を付けてね。」
自宅に戻った私は、急ぎ身支度を整えた。
化粧をしようと、唇に手が触れたとき、龍崎さんの口づけを思い出してしまった。
「こんな時に…私、何考えているのだろう!」
会社に到着すると、既に健斗がマネージャーと話をしていた。
マネージャーは深刻な顔で話を聞いている。
恐らく、動画を見せたのだろう。
あんなに怒りを露わにした、マネージャーを見たのは初めてだった。
よほど動画が許せないのだろう。
…その日の午後…
三枝物産の社長と、役員とみられる男性が会社に呼ばれたようだ。
健斗とマネージャー、そして龍崎部長が応接室で応対する。
(…健斗…大丈夫だよ…きっと…)
数時間後、応接室から三枝社長が出て来た。
気のせいか顔色が悪いように見える。
それに続き、役員男性や健斗たちが部屋から出て来た。
三枝物産の方々が帰ると、マネージャーが私に声を掛けて来た。
「鈴木さん、ちょっといいかな、話がある。」
私を営業部の隅にある打ち合わせコーナーに連れて行き、健斗も呼んで3人でそこへ座った。
健斗の顔を近くで見ると、急に涙が溢れ出した。
健斗は私の頭をポンポンと優しく叩きながら、顔を覗き込んだ。
「恵美、全部終わったよ。心配かけてごめん」
(健斗が微笑んでいる。全部終わったんだ…)
マネージャーが今回の事件の説明を始めた。
「今回の件は、全て三枝社長に伝えたよ。もちろん動画の件もね。本来ならば警察に言うべきだが、何とか伏せて欲しいと要望があってね。取引は約束通り行う事と、今後は高山君に娘を近づけない事を約束してくれたよ。」
健斗はゆっくりと頷いた。
「僕は、解ってもらえて、取引もしてくれるなら、許すことにしたんだ。」
私は思わず健斗の胸に抱き着き、顔を埋めた。
健斗が無事であれば私は他に何も望まない。
“ゴ…ゴ…ゴホン…”
「鈴木さん、ここは会社なので…抱き着くのは後にしてくださいね。」
マネージャーに笑みがこぼれていた。
全て終わったと思っていた。
しかし、まだ終わっていなかったようだ。
就業時間も過ぎ、そろそろ仕事を終わらせようと思っていた時のことだった。
マネージャーは慌てて話し始めた。
「鈴木さん、大変だ!」
「…えっ…何ですか?」
「三枝物産のお嬢さんが事故で運ばれたそうだよ!」
「どういう…ことですか?」
「東京に急ぎ戻って来たそうだが、乗ったタクシーが事故に合い重体で危ないらしい。」
(…まさか…)
(…あの人が…)
すぐに私は、部長室に向かい走っていた。
部長室のドアをノックする。
“コンコンコン”
「…どうぞ…」
「龍崎部長、よろしいでしょうか?」
「…うん。そんなに急いでどうしたのかな?」
「さ…三枝物産のお嬢様が…事故に…合われたって…」
「そうみたいだね。」
「ま…まさか…あなたが…事故に合わせたのですか?」
「ひどいな…とんだ濡れ衣だね。」
「重体で危ないと…聞きましたが…」
「…可愛そうだけど、助からないと思うよ。」
龍崎部長は椅子を回転させて後ろを向いた。
窓ガラスに写る龍崎部長の顔に、笑みが浮かんだように見える。