運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~

「龍崎部長、少しお時間よろしいでしょうか…。」


声をかけられて、龍崎部長は少し驚いた顔で振り返った。
京子は龍崎部長に向かって、会釈をして話し始めた。


「私は営業部第2グループの西条京子と申します。よろしくお願い致します。」


可愛い表情で笑顔を作るのは京子の得意技だ。
女性の私から見ても見惚れてしまう。
そんな京子の横で茫然としていた私に、京子は肘で私を突きながら、早く挨拶するように促す。


「あ…あ…あの…私も第2グループの鈴木…め…恵美です…」


私は慌てて声を出したため、緊張から上手く話せない。
声が裏返ってしまうほどだ。
きっと、真っ赤な顔になっていただろう。
さらに、恥ずかしさが増してくる。


すると、龍崎部長は私達に右手を握手の形で差し出した。


「西条さん、鈴木さん、よろしくね」


京子が先に差し出された右手に握手をした。
私はそっと顔を見上げながら、右手を出そうとした。




--------------その時!!-----------





近くで龍崎部長の顔を見上げて、一瞬息が止まった。


その理由は、いつも夢に出てきている悪魔と、顔がそっくりなのだ。


私は驚きのあまり、時間が止まり、龍崎部長の右手を握ったまま固まっていたようだ。



京子は私の様子に気づくと、慌てて私の袖を引っ張った。
私はハッと自分の状況に気付き、慌てて手を離した。


「も…申し訳ございません。私…緊張してしまって…」

「…フフッ…緊張するなんて、可愛いね…」



龍崎部長は優しい笑顔を向けてくれた。
しかし、その笑顔は美しくどこか妖艶で、少し怖いと感じるほどだ。







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