運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
PM3時、会社内の自動販売機の前。
小さくフーッと息を吐き、何を飲もうかと考えていた。
「鈴木さん、そんなに選ぶのに悩むのか?」
後ろから男性の声がして、驚き振り返ると龍崎部長だ。
「い…いえ…ちょっと、ぼーっとしてました…。」
「…そう。眠そうだな?」
「いえ…眠くは…ありません。」
「そう…。」
背の高い龍崎部長は、私の頭の上から自動販売機にコインを入れた。
“ガタン”
冷たい缶コーヒーを手に取ると、私の頬にいきなり押し付けた。
「キャッ…冷たい…何するのですか?」
「なんか…顔が赤い気がしたから。」
「そ…そんなこと…ありません!」
近くで見る龍崎部長に心臓がドクンと鳴る。
顔がさらに熱くなってくる。
「ムキになるところは可愛いね…」
「そ…そんな…揶揄うのは止めてください。」
すると頬にふわっと優しい感触がした。
「…っえ?」
龍崎部長が頬に口づけた。
心臓が激しく鳴っている。
(…この感触…)
(…私が求めている感触…)
「あっ…あの…龍崎部長!」
「…ん、何かな?」
龍崎部長は片方の口角を上げて、悪戯な表情をする。
「い…いえ…なんでもありません…。」
「クスッ…へんな奴だな…」
私は何を言おうとしたの…
言えるはずない…
言ってはいけない…
今の幸せを壊す勇気はない…
もっと欲しいなんて…