運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
私は思わず龍崎さんの胸に顔を埋めた。

ゆっくりした心臓の音。
どこか懐かしい。
私…この腕の中にずっといたい。


「鈴木さん…大丈夫か…?」

「龍崎さん…」

「…うん。どうした?」

「私…あなたが…」

「…っえ?」

「あなたを…愛して…います…あなたじゃないと…」

「…鈴木さん。少し飲みすぎのようだね。」

「違います…あなたじゃないと…私は…だめなんです!」

「鈴木さん…後悔するぞ…一刻の気の迷いだ。」

「今日は…眠らせないで…ください。いつもあなたは、私を眠らせて居なくなってしまう…」

「…それは…お前のために…」

「龍崎さん…私にキスしてください。」


もう止められない。
自分の気持ちに嘘はつけない。
私は…この人を…愛している。

「…恵美!」
「…龍崎…さん」

そっと重ねられた唇。


もっと…

もっと強く…

もっと深く…


優しい口づけがじれったい…
私からすがり付くように口づける…


「…恵美…これ以上はダメだ。俺も自分が止められなくなる。」

「…お願い…あなたが…欲しいの…」



「龍崎さん…抱いてください!」

「…恵美…後悔するぞ…」


その時、龍崎さんの姿が変わった…

いつも夢に現れる、美しい悪魔の姿だ…

背中には大きな黒く輝く羽が付いている…

酔いがまわっているのかも知れない…

いや…違う…

「…恵美…俺が恐くないのか?」

「あなたの姿は…いつも夢で見ていました…私に口づけて…消えてしまうの…」

龍崎さんは優しく私に手を差し伸べる。


「…おいで…恵美…」

私はその手に引き寄せられるように、両手で掴む。
そのまま引き寄せられるように、龍崎さんの胸に抱きしめられた。
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