運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
龍崎部長との挨拶の後、自席に戻ると京子が怒り顔で私に近づいて来た。
「やだぁ恵美…なに固まっているのよ!龍崎部長の手を握ったまま離さないなんて…部長も困った顔していたよ…でも、恵美が気になるみたいで、あの後ずっと恵美を見ていて…もうずるいよ…」
京子は笑いながら言ったが、目は本気で怒っていた。
「京子ごめんね…緊張しちゃって!きっと変な女って思われたね…私…」
「たとえ恵美でも許さないからね…龍崎部長は私が狙っているのだからね!」
恐らく、京子に本当のことを伝えても、信じてはもらえないだろう。
夢に出てくる悪魔そっくりなんて、考えてもおかしな話だ。
「きっと偶然だよね。」
私は自分に言い聞かせるように呟き、仕事を始めた。
仕事に集中することで、考えないことにした。
しかし、その日の夜、私はまたいつもの悪魔の夢を見てしまった。
美しい悪魔が近づいて来る。
しかも、龍崎部長を見た所為なのか、やけに鮮明に顔が見えた。
悪魔は何か話し掛けてくる。
“…リリス…私の愛しいリリス…”