運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
その日の夜。

「…恵美、ただいま…」

「…うん…おかえり…」


私はソファーの隅に座り、顔を合わせないようにした…


「…恵美…どうした?」

「…何でもない。」

「…そう。何でもないんだ」

「…やっぱり、あります…」


クスッと龍崎さんは笑いながら、私の肩に手をかけて振り向かせた…


龍崎さんの顔を近くで見たとき…

何故か、涙が溢れて流れ落ちる…


「め…めぐ…恵美、どうした…」

「…圭吾は…美人でグラマーな人が好きなんでしょ。」

「…えっ、何を言ってるのか…わからないけど…」

「私はグラマーじゃないし…あんなに色気ないし…」

「…っはっ?」

「…どんくさい女だし…」


朝に言われた柳原さんの言葉を思い出し、さらに涙が溢れた。


「お…おい恵美…まったく意味が解らないし…なんで泣くんだ…」


龍崎さんは親指で涙を拭って、じっと私を見つめた。


「何があったんだ…グラマーとか、色気とか、どんくさいとか…さっぱりわからない。」

「圭吾は…カッコいいし…優しいから…モテるのはしょうがないけど…あの人(女)だけは嫌なの…」

「…っは?誰のことを言ってる?」



「…秘書課の柳原麗美さん」



「…恵美、妬いてるのか?」

「違います…今日、圭吾が営業部に来た時、柳原さんに向かってニヤニヤいやらしい顔してたもん。」

「お前…やっぱり妬いてるんだな…嬉しいけど…」

「圭吾!!」


龍崎さんにいきなり口を塞がれた…
突然の口づけに抵抗しても、頭を押さえられて動けない…


唇が離されたが窒息しそうだった。

「恵美…俺は、これからは恵美だけだから…」

「圭吾は…女の人に誘われると、すぐエッチするし…」

「やきもち妬く、可愛い婚約者を泣かせないよ…」

「私…柳原さん…恐い…」

「そういえば…彼女はやたら引っ付いてくるな…」

「…うん。圭吾も気を付けてね…」

「大丈夫だよ…恵美のほうが気をつけろよ…」
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