運命の恋人 ～上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった～

龍崎さんは少し時間が経つと、やっとこの状況がわかってきたようだ。
柳原を見ると、強い口調で話し始めた。

「柳原さん！僕に何か薬を使ったのか？なんでそんなことをするんだ！それに、鈴木さんを…恵美を閉じ込めたとは、どういうことだ！？」

柳原は口角を妖しく上げて話始めた。
「VIP用の応接室からよく出て来られたわね。今日は一晩、出られないはずだったのに！」

私は怒りがおさまらず、思わず柳原に近づき頬を叩いた。

「私は、ここに居る早乙女さんに助けてもらいました。閉じ込められていたことも許せないけど、一番許せないのは、龍崎さんに薬を使って何かしようとしましたよね！そんなことして何になるのですか？」

「あなたより、私の方が良い女だって気づいて貰いたかったのよ。あなたより私の方が龍崎部長とお似合いだって思わない？このどんくさい女！」

龍崎さんは、少しふら付きながら立ち上がった。

「俺がお前とお似合いだって？いい加減にしてくれ。お前の顔は二度と見たくない。それに今後、鈴木さんに指一本でも触れたら、俺は許さないからな。覚えておけ！」

龍崎さんは怒りで震える私の肩に手を置いた。

「…恵美、もうこんな奴は相手にするな…帰ろう…」

まだ、歩くことが難しい龍崎さんの肩を、早乙女さんが支えた。

「早乙女…いろいろすまない。助かったよ…ありがとう。」

「お前がしっかりしていないから…鈴木さんがこんなことになるんだ！…ぼやぼやしていると、俺が鈴木さんを連れて行くぞ！」

「…早乙女！！」

「龍崎、冗談ではないよ…鈴木さんを悲しませるなら、俺は…」

早乙女さんが小さな声で何か呟いたが、私にはよく聞こえなかった。

「…えっ、早乙女さん何か言いました？」


「何でもないよ…帰ろう！」