運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
突然、健斗に抱きしめられ、頭が真っ白になる!
「鈴木さん…いいや…恵美!」
「…っえ!!」
「俺…思い出してはならないことを…ほんの少し…思い出してしまったんだ。」
「…何を言っているの?」
「…一緒に…絵画展行った…招待チケットに、恵美の名前があったんだ。」
「…け…健斗…」
「絶対に思い出してはならない…でも…俺は…今でも…」
「…高山さん…それ以上は…言わないでください…今日は、あなたの結婚式です…」
…言葉が遮られた…
…塞がれた唇…
痛いほどの口づけ…
…ダメ…
私は健斗の胸を押して、唇を離した。
「…高山さん…お幸せに…可愛い新婦が待ってますよ…」
私は自分の感情を押し殺し…微笑んだ。
「…う…うん。ごめん…行くよ…鈴木さん…最後に伝えられて…よかった。」
健斗はゆっくりと後ろを向き、歩き出した…
その背中を見送る…
振り返ることはなかった…
涙は出さないよ…健斗…
…おめでとう…