運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
今日は京子から誘われていた、合コンの日だ。
圭吾には内緒だけど、今日帰りが遅くなることは言わなくてはならない。
圭吾は、椅子に座り、ネクタイを結びながら朝食を食べようとしている。
(今が伝えるチャンスかも…)
「…圭吾。」
「…ん?なに?」
「今日…ちょっとね、京子に誘われた女子会があるの。」
「…うん。」
「す…少し…遅くなるけど…行っても良いかな?」
「…うん。楽しんでおいで!恵美なんか顔が赤いけど…大丈夫?」
「…大丈夫だよ!」
(…圭吾は鋭いから、危なかった。…バレてないよね…)
『それでは、僕たちの出会いに…乾杯!!』
取引先の男性社員が5名と私達5名での合コンだった。
それぞれが自己紹介して楽しい雰囲気で合コンが始まった。
「鈴木さん!恵美ちゃんって呼んで良いかな?可愛いよね。彼氏いないの…?」
「え…えっと…彼氏は…いますよ。」
(…婚約しているのは内緒だけどね…)
「…残念だな…でも、浮気しちゃいなよ。恵美ちゃん、俺のタイプド真ん中なんだけど。」
私は愛想笑いをして、聞き流していた。
隣の京子は、かなりお酒を飲んでいて、既に酔っている。
(…この人苦手だな!帰りたいな…)
「恵美ちゃん。俺は“亮”…仲良くしようよ。」
亮は、向かい合わせの席から、隣に座りなおした。
私の腰に腕をまわした。
「あ…あの…亮君…私…ちょっと…トイレ行ってくるね!」
私はその場から離れるために、トイレに逃げた。
(はぁ~嫌だな…帰りたい…)
小声で呟きながら、トイレから出ると入り口に亮がいた。
「恵美ちゃん…帰りたいの?…送るよ…」
トイレの入り口で、亮は待ち伏せていたようだ。
独り言の呟きも聞かれていたようだ。