運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
私は早乙女さんと静かなフレンチレストランに来ていた。
早乙女さんはこの店は良く来るようで、お店の方々もお知り合いのようだ。
(…こんな素敵なお店に常連なんてカッコ良いな!…)
白を基調とした、少しアンティークな家具が印象的な店内。
早乙女さんにエスコートされながら席に着いた。
「早乙女さん、いらっしゃいませ…今日は素敵なレディーとご一緒なのですね。」
「…うん。僕の大切な人です…っと言いたいところですが、友人の婚約者なのです!」
大人の雰囲気のお店に緊張する。
「恵美ちゃん、嫌いな物ある?」
「…いえ…ほとんどありません。」
「…そう、じゃあ、僕のお勧めで良いかな?」
「…はい。お願いします。」
(…よかった。私はフレンチ分からないし…)
早乙女さんは、慣れた雰囲気でオーダーしてくれる。
整った横顔に、見惚れてしまう。
「恵美ちゃん、僕の顔に何かついている?じっと見られていると恥ずかしいな!」
「…はっ、ごめんなさい。早乙女さんが素敵で見惚れていました。」
私は自分の発言に後悔した。
(…なんて恥ずかしいことを言ってしまったのだろう…)
すると、早乙女さんはクスッと笑った。
私の真っ赤になった頬に優しく触れた。
「…恵美ちゃん、可愛いね。」
「さ…早乙女さん!」
「龍崎の大切な人じゃなければ、とっくに奪っているのだけどね…」
「そ…そんな…冗談…言わないでください…」
アペリティフのシャンパンも柔らかい炭酸でとても美味しい。
アミューズも可愛くもちろん美味しい。
とても幸せな気持ちになる。
美味しいお食事を食べながら、ふと先日のモヤモヤを思い出した。
(そうだ…、私、早乙女さんに聞いてみたいことあるんだ…)
(聞いてもいいかな…?)
「あ…あの…早乙女さんにお伺いしたいことがあって…」
「…うん。どんな事…?」
「早乙女さんは、龍崎さんと学生時代からご一緒ですよね…?」
「…うん。それがどうしたの…?」
「り…龍崎さんの…昔の…彼女とか…奥様とか…ご存じ…ですよね…?