運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
体調が悪い

「恵美!おはよう!」

京子は会社の入り口で、ポンと私の肩を叩いた。

「…京子、おはよう…」

京子は私の顔を覗き込んだ。

「…恵美、なんか顔色悪いよ…具合悪い?」

私は朝から貧血のようで、くらくらとして体調が良くない。

「…うん。貧血かも…」

「…大丈夫?休めばよかったのに…龍崎部長は体調が悪い事、知っているの?」

「圭吾は出張で、朝早く出ているから知らないの。でも大丈夫、もう少しすると良くなりそう…」

私は自分のデスクに座り、息をフッと吐き出すとキーボードに手を伸ばした。
朝よりは少し体調は良くなっているが、なぜか吐き気もする。

暫くすると、マネージャーが呼ぶ声が聞こえて、慌てて立ち上がった。


(…っあっ…目の前が真っ暗…私、倒れるかも…)


まわりの景色がスローモーションに見えたる。
私はその場で倒れ込み、意識を失ったようだ。


うっすらと、京子の声がしたのは覚えている。



誰かに呼ばれている声を感じて、目が覚めた。

ゆっくり目を開けると、白い天井が見える。

「…恵美…恵美…大丈夫!」

女性の声に気が付き、声の方を見ると、京子が泣きそうな顔で横に居た。

「…京子、私…どうしたの…?」

「…恵美、良かった。気づいたんだね。」

「…ここは?」

「病院だよ…恵美は気を失って会社で倒れちゃうから…びっくりしたよ!」


“コン、コン、コン”


病室のドアをノックして医師が入って来た。


医師は私の横に立ち微笑んだ。

「鈴木さん、具合はどうかな?」

「はい…だいぶ良くなりました。」

「…そう。よかった…」

「…あの…私は貧血ですか…?」

すると医師は笑みを浮かべて話始めた。

「鈴木さん、おめでとう。」

「…っえ?」

「…妊娠されていますよ。」

「…っえええ…本当ですか?」

医師は静かに頷いた。
横に居た京子も口角が上がっている。

京子は私に抱き着いて飛び跳ねている。

「め…恵美…おめでとう…よかったね!!」

「…京子、なんか信じられない…酷い貧血だと思っていたのに。」


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