運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
…数日後…
圭吾は私の両親に会うために、私の実家に向かっている。
実家はそう遠くではないが、なにかとバタバタしていて実家に帰るのは私も少し久しぶりだった。
“ピンポーン”
ドアの横にあるチャイムを鳴らすと、中から懐かしい女性の声がした。
…母だ…
「…恵美!おかえりなさい。久しぶりね。」
私は隣にいる圭吾を紹介しようとした時、母はそれを遮るように話し始めた。
「…龍崎さんでしょ…お待ちしていましたよ!恵美から連絡貰って、とてもお会いするのが楽しみでした。とても素敵で驚いたわ!」
母は私たちを優しく笑顔で、家の中へ招きいれてくれた。
懐かしい変わらぬ実家の香がする。
隣にいる圭吾は、珍しく緊張しているようだ。
いつも冷静な圭吾の顔が引きつっている様子が可笑しく、自然と口角が上がってしまう。
「…圭吾…そんなに緊張しなくても…」
「笑うなよ!」
部屋の奥の突き当りにあるリビングには、父と妹の真美が座っていた。
特に妹は圭吾に会うのが楽しみのようで、首を長くして待っていたようだ。
私達の姿を見ると父と妹はすぐに立ち上がった。
妹の真美は、圭吾を見るなり目を丸くして顔を真っ赤にした。
「お…お…お姉ちゃん…この方が龍崎さんなの…?」
「…うん。」
「キャー…イケメン過ぎるでしょ!アニメで見る王子様みたい!」
母が妹を黙らせるように、押さえた。
「真美!失礼ですよ…静かにしなさい!」
圭吾はいきなり立ち上がり、頭を下げた。
「…初めまして、龍崎と申します。」