運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
父は真剣な眼差しで圭吾を真っすぐ見ている。
圭吾はゆっくり息を吸い、少し緊張気味に話し始めた。
「ご挨拶が遅くなりましたが、恵美さんと結婚させてください。」
父はしばらく目を閉じた。
少しして父は静かに話し始めた。
「…私は二人が決めたことに反対はしません。でも一つだけあなたには言いたいことがあります。」
「…はい。」
「…恵美は妊娠していると聞いています。順番が逆ですね。」
「…はい。申し訳ございません。」
「…でも…貴方なら、恵美を幸せにしてくれると信じています。」
「…はい。必ず幸せにすると誓います。」
父は圭吾に笑顔を向けて頷いた。
「…恵美をよろしくお願いしますね。」
(…よかった…父も微笑んでくれた…お父さん、お母さん…)
私は思わず、圭吾に抱き着くが、涙で前がよく見えないほどだ。
圭吾も、目に涙が溢れていた。
横に居た真美が、割り込むように話し始めた。
妹は昔から、姉である私が大好だ。
恐らく圭吾にやきもちもあると思う。
少し拗ねた表情をしている。
「ゴホッ、ゴホッ…お姉ちゃん!みんなの前でイチャイチャしないでよ…見ている方が恥ずかしいよ…」
圭吾は真美に向かって微笑み話しかけた。
「…真美ちゃん、これからよろしくね…僕もこんなに可愛い妹が出来て嬉しいよ。」
圭吾が、真美の頬にそっと手を添えて話をすると、真美は恥ずかしそうに俯いてしまった。
父も母も喜んでくれている…
…ありがとう…
家の玄関で両親が見送りをしてくれていると…
妹の真美が何か箱を持って走って来た。
「お姉ちゃん!待って!」