【完】夢見るマリアージュ

どうしよう、涙が出そうだ。
さっき木島さんに手を掴まれた時はすごく怖かった。 けれど、北斗さんだけは全然怖くない。
握られた手は何故かとても落ち着く。

「ハァ……ごめん。 いきなり連れ出しちゃって…
つーか運動不足だ。ハァハァ…最近全速力で走る事もなかったから」

飲み会会場から外に出て、北斗さんに手を引かれるままついてきてしまった。
冬だというのに、北斗さんの額にはじんわりと汗が滲む。

確かに北斗さんは運動不足かもしれない。 同じように走って来た私は、全然息が切れていない。
これもあれも、全部最近通っているジムのせいなのだろうか。

痩せたせいもあるのかもしれないけれど、体力がついてきた証拠だ。  しかしいきなり温かい所から寒い冬空の下に投げ出されくしゃみを一つすると

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