【完】夢見るマリアージュ
北斗さんは何一つ悪くないのに、さっきから謝ってばかり。 私最悪だ。
何か返事をしなくてはいけなかったのに、子供のように逃げ回って避けるような真似ばかりして。
北斗さんの事を疑っていた。 母の言葉が耳から離れなかった。 嘘でも気まぐれでも、本当はすごく嬉しかったのに。それを素直に喜びたかったのに。
北斗さんは僅かに視線を下げて、悲しそうな目をする。
いつも穏やかに笑っていてくれたのに、こんな顔をさせてしまうなんて
「悩んでいたわけでは……ないです。」
「え?」
「いや、悩んではいたのはいたのですが…
北斗さんの言葉が信じられなかったのです。
私みたいな女に、こんな奇跡のような出来事が起こるはずがないって…
北斗さんから付き合ってくれないかって言われて、私すごく驚いちゃって。だって北斗さんと私、全然似合っていないから…」
言っていて、涙が零れ落ちそうになった。 全ては自分の自信のなさが招いた事。
だってあの言葉が冗談や遊びだったら、それこそ立ち直れないし。
けれども北斗さんはいつだって私と真っ直ぐに向き合ってくれた。 彼だけは違う人だって知っていたのに。