【完】夢見るマリアージュ
赤色のリボンが飾られたクリスマスプレゼントを受け取ると、ジーンと胸が熱くなる。
嬉しすぎて苦しくなることもあるのだな、と思う。
プレゼントを開けている間、香ちゃんはずっと不安そうな表情を浮かべていた。 俺の為に選んでくれたって事が重要で、何を貰っても嬉しいものだけど。
「うわあ…!ネクタイ?すっごくいい…。」
「だ、大丈夫でしたか?お好みじゃなかったら申し訳ないのですが…
北斗さんはいつも青系のネクタイをしていらっしゃるからいいかなあと思って…。
何か面白みのない地味なプレゼントですいません」
すいませんと直ぐに謝ってしまうのは彼女の癖だろう。 深い青色のネクタイは一目見た瞬間から気に入ってしまった。
シンプルだけど何にでも合わせやすいデザインだ。
それでも俺の顔色を窺うように不安げな表情を浮かべる彼女は、このプレゼントを選ぶまでどれだけ頭を悩ませたのだろう。
「すごく嬉しい…。大切に使うよ。 香ちゃん、本当にありがとう」
にこりと笑顔で返すと安堵の表情を浮かべて、胸を撫でおろした。
「俺も香ちゃんにプレゼント用意してるよ」
そう言うと、彼女はびっくりとしたようで目をぱちくりさせた。
どうやら貰えるものだと思っていなかったらしい。 どこまで腰が低いのか。
この間プレゼントを渡すって言っていたのに。