【完】夢見るマリアージュ

彼女の為に選んだプレゼントは、リボンの形の中にピンク色の石をあしらったピンキーリングだった。

婚約指輪を贈りたかったものだが、それはまださすがに重すぎるだろうと選んだプレゼントだった。

「ピンキーリングだよ。 貸して?」

そういって香ちゃんの左手を手に取り、小指にはめる。

「幸せは右手の小指から入ってきて、左手の小指から逃げていくんだって。
だから香ちゃんの幸せが逃げて行かないように…」

そのピンキーリングは彼女の小指にぴったりだった。 指輪をはめた瞬間、彼女の瞳からぶわっと涙が零れ落ちる。

「か、香ちゃん…!」

「すいませ……。 嬉しくて…。 こんな素敵なプレゼントを誰かから貰うのも初めてだったし…
本当に本当にありがとうございます……。
私の幸せは…北斗さんが隣に居る限りずっと続いていくんです…」

それはこっちの台詞だ。
何ていじらしい子なんだろう。
頬を流れ落ちる涙を指で拭うと、震える彼女の体を抱きしめて優しくキスを落とす。

君を幸せにするのは俺だ。 こんなに好きになれる人に出会えるなんて。

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