【完】夢見るマリアージュ

話を掛けては見るものの彼女は下を向いたまま小さく答えるばかり。
人見知りなのかもしれない。  何故だろう、こんなに親近感が沸くのは。

暗い夜の空の下でも映える真っ白な肌はくすみの一つもなく、綺麗だ。 リリーの真っ白の毛並みを思い出す。

「本当に偶然だねぇ、最寄りの駅が一緒なんて」

「ええ…本当に。何から何まですいません」

「何謝ってんの。悪い事何もしてないじゃない。
それにしても電車満員だね。 大丈夫?」

ぎゅうぎゅう詰めになった満員電車の中で、城田さんを壁際に寄せてつり革を掴む。

俺との身長差、30センチくらいあるんじゃないだろうか。 小さな女の子だ。 視線の下良く見えるサラサラの黒髪のつむじは天使の輪っかを作っている。

「だ、大丈夫です…! あのっ。 ありがとうございますッ。でも本当に平気ですッ。満員電車慣れてるし」

こんなに小さくて人混みにすぐ潰されそうな癖に何を言っている。
くすりと小さく笑ったら、城田さんは不思議そうに顔を上げてこちらを見上げた。

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