【完】夢見るマリアージュ
実は自分でもお気に入りの名前だった。 それを一番に褒めてくれた事が嬉しかった。
「へへ。 でもまあ、きもいよね。独身の30過ぎの男がうさぎと二人暮らしとか。
あんまり言わないようにしてるんだけど城田さんリリーににてるからついつい言っちゃった。」
携帯からこちらへと視線を移した彼女は、大きく首を横に振った。
「全然きもくなんかないです…。 優しい人なんだなあって思う、動物を大切に出来る人は…
私は小さい頃から動物と触れ合った経験がないから、動物って怖いなあって思うんですけど
こうやって写真で見るとすごく可愛いですね」
「いやあ、そこまで言われると照れる。 写真で見ても可愛いけど、実物もすごーく可愛いんだ。
今度見に来る?」
そこまで言うと、城田さんは携帯を握り締めたまま硬直した。
あ、やばい。俺変な事を言ってしまった。 せっかく良くなりかけた空気が途端に悪くなって、焦る。
これじゃあまるで、うさぎを口実に自宅へと誘っているいやらしい男みたいだ。
「あ、アハハ。 なんて」
「…ハハ。」