【完】夢見るマリアージュ
「どういったお菓子を作るの?」
訊きたい事は山ほどあったが、出来るだけ冷静に訊ねると彼女は自分の携帯を取り出した。
「そんなに大した物は作りませよ。 定番だとクッキーとか。
ケーキも作りますけど。 結構何でも作ります」
画面に映し出されたのは、渦巻き柄と市松柄のアイスボックスクッキーだった。
実に見事な物で、デパートで売っている物と見比べても見劣りしない出来だ。
「すごッ!!!」
「すごくなんかないですよ。」
「いやいや、この手のタイプのクッキーは手間暇かかるでしょう。
うわあ、本格的だなあ、びっくりした。 ケーキも生地から作るの?」
「一応……。味には余り自信ありませんけど…」
そう言って彼女が見せてくれた手作りケーキも画像も見事な物だった。
まるで売り物のようで、プロのパティシェのようだ。
お菓子作りは簡単に出来るように見えて、手間暇を掛ければ掛けるほど奥深い物である。
その分出来上がった時の達成感も並大抵の物ではない。 彼女の作るお菓子、画像で見ただけで分かる。かなり手の込んだものだと。
同じ趣味を持っている者に出会うと、ついついその想いの共有をしたくなってしまう。 男がお菓子作りなんて…とますます引かれてしまうかもしれないが。