【完】夢見るマリアージュ

「実は…俺も…お菓子作りが趣味で…」

ぽかんと口を開けた彼女は、驚いた顔でこちらを見上げた。
…やはりドン引きだろうか。 30過ぎのおっさんの趣味がお菓子作りなんて…。
しかし城田さんは思っても見なかったような事を口にした。

「すごい…! 北斗さんは何でも出来るんですね。」

「いやいや全然。城田さんに比べたら…俺こんなに器用じゃないし
それに何でも出来るわけないよ」

「…そんな事ありませんよ。 北斗さんは仕事も出来るし、素敵だし
社員一人一人の名前も覚えているし、しかも動物にまで優しいって事が今日判明しちゃいましたし
すごいですね。 北斗さんって本当に何でも持ってる…。私とは大違い」

てっきり引かれるばかりだと思ったけれど、彼女は本当に感心したように言った。

「へへ……そんな風に言われちゃうと照れちゃうな…。
こういった趣味は女性には引かれちゃうからあんまり言わないようにしているんだー。
それにしても城田さんのお菓子本格的でビックリしちゃったなあ。」

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