【完】夢見るマリアージュ
■2■ *SIDE香* 夢を見せないで。
■2■ *SIDE香* 夢を見せないで。
夢の様な事が現実になったのは、あの告白現場を目撃してから数日余りの出来事だった。
女子社員の憧れの的の 阿久津フーズファクトリーの御曹司。 私も密やかに憧れていた人だけど、世界やレベルが近すぎて雲の上の人だと思っていた。
そんな彼とひょんな事をきっかけに連絡先を交換する事になる。
「夢じゃない……」
数少ないラインの友達の中に、北斗さんの名前がある。
プロフィール画像は私に似ていると言っていた真っ白のうさぎのリリー。 …全然似てないんだけど。
私の作ったお菓子が食べてみたいなんてただの社交辞令だと思っていたのに…。
遠い世界の人だとばかり思っていたのに、あんなに話しやすい人だったなんて…。
自宅マンションに戻り、夢のような現実にまだ頭がついていかない。 1Rのマンションは就職を機に引っ越しをしたばかり。
一応オートロックはついているけれど、東京でただのOLが一人暮らしするのは生活も大変だ。
節約するのは癖になっていた。