【完】夢見るマリアージュ
『大丈夫です。マンションに着いて今ご飯を作っています。
リリーちゃん、やっぱりすごく可愛い。
私になんか全然似ていないです。』
え、絵文字あった方がいいかなあ? スタンプも送るべきだろうか。
男性とメッセージのやり取りなんて普段しないから、つまらない事で頭を悩ませる。
送信した後に再びハッとする。 私ったら何を自分を良く見せようとしているというのだろうか。
だって北斗さんだよ? 私なんて相手にするわけないじゃない…。彼の周りには都会的で美しい女性ばかりだ。
気分を落ち着けて、鍋からピンクの丼にうどんを移す。 余り野菜だけど彩りが良く美味しそうに見える。
簡単で栄養もちゃんと取れる、残業した日にはうってつけの夕食だ。
それをテーブルに運んでいる時、ちょうどまたラインの受信音が響く。
『そっくりだし。笑。 すっごく可愛い。
ご飯作ってるの?偉いね。俺なんてコンビニ弁当買ってきちゃいました。
休日は健康のために自炊を心掛けているんだけど、平日は適当に済ませちゃう。
平日なのにきちんとしてる城田さんはすごいと思います。』