【完】夢見るマリアージュ
「だって最近えらく仲良くしているみたいだし、岸田ちゃんが愚痴ってたもん。
北斗さんと城田さんがコソコソ何かを渡し合っているとか、一緒に残業をしているとか
そんなの勘ぐらない方がおかしいし、ほっくん全然女っ気なかったのに…」
「コソコソ?!コソコソしてるつもりなんかないんだけど…。
それに渡されたのはこれじゃあない?」
ポケットの中から取り出したのは、丁寧に包装紙で包まれたクッキーだった。
今日も偶然社内で会った時に、どうぞと言って渡された新作のクッキーらしい。
この一ヵ月、会社に城田さんの手作りのお菓子を持ってきてくれたのは何回かあった。 どれもこれも驚く程美味しくて、オーバーすぎるリアクションをすると彼女は屈託なく笑い喜んで新作の味見は俺の係になっていた。
そのお礼に食事やカフェに付き合ってもらい、一緒に出掛ける機会は増えた。
「えー!!美味しそう~。俺も欲しい」
「駄目だよ。」
「駄目なの?!ほっくんケチ! つーか手作りお菓子とかマジで乙女じゃんか。
ほっくん愛されてるねぇ~」