【完】夢見るマリアージュ
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金曜日が特別なものになったのはいつからだっただろうか。
あの日、一緒に食事に行ってから金曜日の夜は約束をしなくとも彼女と一緒に時間を過ごしている。
その時間を特別だと感じる事自体が、俺の中の変化だったんだ。
いつものように残業をしているであろう営業部のオフィスを覗き込むと、今日も変わらずに彼女の姿があった。
声を掛けようとして、思わず足を止めてしまったのは彼女の傍らに男性の姿があったからだ。
顔を上げた城田さんは楽しそうに笑っていた。
「城田さん、本当に変わったよねー」
「そ、そんな事ないですけどね…。」
「社内の連中皆言ってるよ。 でもコンタクトにして正解! 髪も短い方が似合うしね。」
「…ありがとうございます。」
隣に居た男性社員は、営業部の期待の星。 入社5年目の木島くんだった。
営業マンらしく爽やかなルックスが特徴で、男の俺から見ても感じの良いタイプの好青年。