【完】夢見るマリアージュ
確かに、城田さんは変わった。 いつも俯いてばかりだったのに、木島くんを真っ直ぐ見つめて笑っている。
それが少しだけ悔しくて、営業部の中に入っていけなかった。 もしかしたら城田さんを変えて行った人が、この中にいるかもしれないんだ。
「今度会社の飲み会にもおいでよ。 城田さんいっつも参加しないし、参加したとしてもお酒も飲まないしさあ」
「うーん…」
彼女は少しだけ困った素振りを見せて、その場で考え込む。
「澤口さん主催で今度飲み会あるんだけど、おいでよ。」
「そうですね…たまには参加した方がいいですかね。」
「絶対参加した方がいいって!皆と仲良くなれるしね。
はい俺と連絡先交換しとこ。 今度飲み会ある時誘うし」
「はい…じゃあ」
携帯を出し合って、互いに連絡先の交換をしているようだった。 胸の中、ちょっとしたモヤがかかったようにさえない気持ちになって行く。
良い事じゃあないか。社員同士交流を深める事は悪い事じゃない。
下ばかり向いていた彼女が変わって行くのだって、彼女にとっては良い変化のはずだ。
なのに、どうして。