ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「お嬢様、この石は……?」
エラが不思議そうに石をのぞき込んだ。リーゼロッテが大事にしていたペンダントは、もっとくすんだ青銅色だったはずだ。
「ジークヴァルト様に石を綺麗にしていただいたの」
公爵の名にエラの表情がひきつった。
「エラ。今日、ジークヴァルト様とお会いして、わたくし、ジークヴァルト様を誤解していたことに気がついたの」
あわてて言葉を紡ぐ。
「ジークヴァルト様は、とてもお綺麗で、力強いお方だったわ」
綺麗なのは瞳の色で、力強かったのは頭部をつかんでいた大きな手なのだが。
王子殿下に聞いた龍の託宣のことを、エラに話すわけにいかなかった。エラの心配が解ける程度のことを話して、リーゼロッテは、はにかむように笑った。
大切な主人の久しぶりの心からの笑顔に、エラはぱあっと顔を明るくした。
「まああ、それはようございました!」
エラは公爵に目通りしたことはない。毛嫌いしていたのはリーゼロッテが悲しい顔をするからであって、公爵本人に恨みがあったわけではなかった。
リーゼロッテがジークヴァルトを受け入れるのであれば、否はなかった。リーゼロッテを幸せにしてくれるのなら、公爵が本物の魔王だったとしてもエラは受け入れたことだろう。
エラが不思議そうに石をのぞき込んだ。リーゼロッテが大事にしていたペンダントは、もっとくすんだ青銅色だったはずだ。
「ジークヴァルト様に石を綺麗にしていただいたの」
公爵の名にエラの表情がひきつった。
「エラ。今日、ジークヴァルト様とお会いして、わたくし、ジークヴァルト様を誤解していたことに気がついたの」
あわてて言葉を紡ぐ。
「ジークヴァルト様は、とてもお綺麗で、力強いお方だったわ」
綺麗なのは瞳の色で、力強かったのは頭部をつかんでいた大きな手なのだが。
王子殿下に聞いた龍の託宣のことを、エラに話すわけにいかなかった。エラの心配が解ける程度のことを話して、リーゼロッテは、はにかむように笑った。
大切な主人の久しぶりの心からの笑顔に、エラはぱあっと顔を明るくした。
「まああ、それはようございました!」
エラは公爵に目通りしたことはない。毛嫌いしていたのはリーゼロッテが悲しい顔をするからであって、公爵本人に恨みがあったわけではなかった。
リーゼロッテがジークヴァルトを受け入れるのであれば、否はなかった。リーゼロッテを幸せにしてくれるのなら、公爵が本物の魔王だったとしてもエラは受け入れたことだろう。