総長様の溺愛は、甘すぎます。
「お願いがあって…」

「お任せ下さい。花衣様の願いなら、なんなりと。」

「許嫁を解消したくて。そして、私はこの家を出ていきます。」

ドックン…
長谷部さんが息を呑んだのが分かった。

「本気…ですか?凌様のこと、嫌いになってしまったのですか?」

違うんです…その逆で…

「大好きになりすぎてしまったんです。凌さんを守るためには…離れないといけないんです。ごめんなさい。」

長谷部さんの瞳が切なそうに揺れている。

「お願い…します。」

「分かりました。凌様のお母様に、花衣様には一生不自由のない暮らしをさせるようにと言われていますので、すぐに…住まいを用意致します。」

「でも…私はもう関係の無い人間になるのに…。」
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