総長様の溺愛は、甘すぎます。
9時。凌さんに告げることを決意して、凌さんのいる部屋をノックした。

「佑香、どうした?」

「凌さん…」

優しい声を聞くと、余計離れたくなくなってしまう。

だけど、言わなきゃ。

「私、ここを出ます。それと、許嫁の話も解消してください…。」

そうすれば、もう貴方と関わらなくて済む。
貴方が傷つく心配もない。

「佑香?急に何を…」

凌さんの顔を見ることは出来ない。
見たら…きっと、泣いてしまうから。

「俺の事、嫌いか?ずっと我慢してたのか?」

違う…大好きだった。

凌さんのこと、嫌いなわけない…。

でも、でも…素直な気持ちは伝えてはいけない。


最初で最後の、貴方へつく嘘。

「きら、いです…」
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