総長様の溺愛は、甘すぎます。
俯く佑香の表情は全く分からない。

だけど、その言葉が全てだった…。

俺はただ、家を出ていく佑香の後ろ姿を眺めていることしか出来なかった…。

黎も一緒には出ていって、俺は1人何も無くなった家に取り残された。

もうきっと、何もない佑香の部屋に入る。

あぁ、ここって、そんなに何も無かったっけ…

このドアをノックすれば、いつも笑顔で俺の名前を呼びながら、出てきてくれていた佑香。

離したくなかった…何でだ…何で急に……。

何も無い空間へ手を伸ばしても何も掴めなかった。

ずっと、ここにいたら、おかしくなってしまいそうで、俺はすぐに部屋を出た。
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