総長様の溺愛は、甘すぎます。
「あ、あのっ!場所…変えませんか…?」

すると、凌さんは目をふせて、申し訳なさそうに、

「そうだな。」

と、私の頭を優しく撫でた。

それから、人で溢れかえる廊下をぬけようとすると、凌さんが1歩足を動かした瞬間、廊下にいた生徒はみんな端に寄った。え…?

「文月さんっ、お疲れ様です!!」

男子のほとんどは、しゃがんで、膝をたて、お辞儀をしている。

女子は、立ったまま、深くお辞儀をしていて…

そんなに凌さんは、すごいんだな…と、改めて思う。

「佑香、行くぞ。」

凌さんに手を引かれると、今度は、反対の手を聖良くんにつかまれた。

「え、っと…」

凌さんと、聖良くんは、動揺する私を気にせず、そのまま歩き出したから、私はただ、ついて行くしかなかった。
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