総長様の溺愛は、甘すぎます。
少しして、人気(ひとけ)のない廊下に着くと、水無月さんが声をあげた。

「凌、もうすぐ昼休み終わるよ?」

「分かってる」

凌さんは、私の方を向いたまま、そうこたえると、優しい声色で私に問いかけた。

「佑香、なんで何日も来ないんだ…??」

っ、、そう聞かれても、本当のことは言えない。凌さんに言えば、助かるかもしれないけど、絶対迷惑をかけるわけにはいけない。

「心配かけてしまって、ごめんなさい。でも、本当に何もないんです。ただ、用事があって、」

凌さんをチラッと見るけど、凌さんは、全然納得してないみたい…。

「……じゃあ、話せる時になったら、話して?俺は、待ってるから。昼も、佑香の気持ちが落ち着いたらでいいから、いつかは来て欲しい。」

「はい、ありがとうございます。」

私はそっと、凌さんに向かって、お辞儀をした。

「話しはそれだけですか?」

今まで静かに見ていてくれた聖良くんは、私の肩を優しく掴んで、挑戦的な目で凌さんを見た。

「あ、ああ…」

「あの、何か勘違いしてたらあれなので、言わせてもらいますけど、佑香のこと1番知ってるのは俺なので。」

「聖良くん…??」

名前を呼ぶと、『ね?』と、訴えるような目で私を見つめてくる聖良くん。

…確かに、両親がいない今、1番今までで私といてくれたのは、聖良くんかもしれない。

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