総長様の溺愛は、甘すぎます。

電話をきると私は、目の前の水瀬さんに頭を下げた。

「ごめんなさいっ、私急いでてっ！」

「じゃあっ！連絡先教えてっ！」

「あっ！はいっ」

すぐさまLINEを開いて、QRコードを出す。

スマホごと水瀬さんに手渡すと、水瀬さんは急いでQRコードを読み込んでくださる。

「ごめんね、急いでる時に、」

水瀬さんから、連絡先の交換が終わったスマホを受け取ると、私は少しだけ動揺したような顔をする水瀬さんに勢いよく頭を下げて教室を出た。

「急がなきゃっ、」

いつもより素早い動きで靴を履いて私は校門まで走った。

「凌さんっ！ごめんなさいっ！遅れました！」

「佑香っ！？」

私に気づいた凌さんは、目を見開いて私の方へ駆け寄ってきて…

反射的に手を伸ばした私の手を引っ張って、包むように抱き寄せてくれた。