総長様の溺愛は、甘すぎます。
私が凌さんの声にハッとして顔をあげると、凌さんは自分の顔に手をあてて、私をじっと見た。

「…佑香も似合ってるな。」

っっ!?

「っ、ありがとう、ございます。」

なんとか、振り絞って声を出すと凌さんはサッと私の手をとった。

「じゃあ、行くか。」

そう言って……

文月家専属の運転手さんに乗せてもらって、私たちはたくさんのお店が並ぶ所まで向かった。

「佑香、大丈夫か?」

近くに駐車場がなくて、信号で車が止まったところで降りるということになった。

到着すると、先に降りた凌さんがそっと手を差し伸べてくださった。

「あ、すみません、ありがとうございます。」

凌さんの手を借りながら、車体を傷つけないように、ゆっくり降りる。

その時、周りから大きな黄色い歓声が響いた。

「キャッ〜!!かっこいいっ!」

わぁ…外、凄く人が多い……。

みんな目をハートにして、凌さんを見つめてる…。

私なんかが、凌さんの隣歩いてることが信じられない。
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