総長様の溺愛は、甘すぎます。
今も、たくさん可愛い子いるのに、凌さんは見向きもしない。

「廣山さん、ありがとうございます。」

「あっ、ありがとうございます。」

廣山さん、という運転手さんにお辞儀をする凌さん。私もそれに続いて、お礼をする。

「いえいえ、凌様、花衣様、敬語なんて良いんですよ。帰りになりましたら、迎えに来ます。それでは、失礼いたします。」

私の中で、おぼっちゃまとかは、運転手さんとかを呼び捨てにするイメージが、あったんだけど、凌さんは本当にお育ちがいいんだろうな。

きっと、凌さんはみんなに好かれる人だと思う。

車が走り去って行くのを見送った後、凌さんは

「佑香は、どんな服が好きなんだ?」

と、私の手を取りながら尋ねた。

「えっ、?なんで…私なんですか?凌さんのじゃ…」

「いや、俺は最初から、佑香のを買うつもりだった。」

えっ、?そんなの、想像してなかった。

じゃあ、まさか凌さん、私のために時間をさいて?


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