悪魔の僕は天使の君に恋をする
* * *

景太は体育館に向かった。部活終わりの生徒とすれ違う中、用具係と思しき生徒は見当たらなかった。


(百合、どこに行ったんだ?)


「あれ、花里じゃん。どうしたの?」


バスケ部の友人が声をかけてきた。


「用具係ってどこで活動してるんだ?」


景太が尋ねると、友人は不思議そうに首を傾げた。


「体育館脇の倉庫だと思うけど……もう随分前に何人か帰って行くの見たぞ?」


「え……?」


ということは百合も帰ったのだろうか。だが、真面目な百合のことだ。部活に顔を出さない訳がなかった。


「……さんきゅ。ちょっと見てくるわ」


景太はそう言って倉庫に向かった。


倉庫に辿り着くと、その小さな扉にはどこから持ってきたのか、長い木材がつっかえ棒のように立て掛けられていた。


「なんだこれ……」


景太は木材を脇に避けると、倉庫のドアを開けた。

倉庫の中は蒸し暑く、息をするのも苦しい。

景太は倉庫の中で百合を探し回った。

 
「百合、どこだ?」


すると、奥の方にジャージ姿の百合が倒れていた。


「百合……!」


景太は慌てて百合に駆け寄った。


「景太……?」


「大丈夫か、百合?」


百合の顔色は悪く呼吸も浅かった。景太の声に、百合は苦しそうに答えた。


「……ごめん、具合悪い……」

 
「……分かった。すぐ保健室に連れて行く」


景太は百合をおぶり、保健室へと急いだ。



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