悪魔の僕は天使の君に恋をする
* * *

──いよいよ明日が体育祭だ。

教室では、体育祭ムード一色で、黒板に寄せ書きをしている人もいる。

1組絶対優勝するぞ!と書かれた黒板はすっかり賑やかだった。


「いよいよ明日ですわね、ルナ君!」


菫がわくわくしながらルナに声をかけた。


「優勝目指して頑張りましょう!」


「うん、そうだね」


そう言いつつも、ルナは景太と百合の様子が気がかりだった。

百合が倉庫で倒れていたのを助けてから、2人とも明らかに元気がない。しかも、帰りも別行動だった。
 

(何かあったのかな……)


ルナが景太を心配そうに見ていると、それに気がついた景太がこちらへ近づいてきた。


「ルナ、どうかしたのか?」


「いや、元気がないから心配で……」


「え、そうか……?」


景太は不思議そうに首を傾げた。どうやら本人に自覚がなかったらしい。


「そうだよ。雨宮さんが倒れてから、ずっと変だよ……何かあったの?」


すると思い当たる節があるのか、景太は苦笑いして頷いた。


「……実は、百合に避けられてて」


「雨宮さんに?」   


「ああ。でも心当たりがなくて困ってるんだ」


「そうだったんだ……」


ルナは内心驚いていた。あの2人でもそんなことがあるのか。


「……まぁ、明日の体育祭には支障はきたさないから。心配かけて悪かったな」


そう言う景太は、やはり落ち込んでいるように見えた。


「……あ、そうだ。明日ハルが来るのか今日のうちに聞いておけよ」


景太は他の人に聞こえないように小声で言った。


「えっ……!」


「何の話ですの?」


「いや、なんでもない!」


不思議そうに首を傾げる菫を何とかごまかしていると、景太はいつものように笑った。


「じゃあ、俺今日用事あるから先帰るな」


景太はそう言うと、手を振って教室を出て行った。


(……今日、涼介君の病室に寄ってみようかな)


ルナは荷物を片付けながらそう思った。


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