悪魔の僕は天使の君に恋をする
ルナがハルに連れられて来たのは、お化け屋敷だった。


「あ、ハル!いらっしゃ~い!」


「美亜。調子はどう?」


「絶好調!入ったお客さん、みんな超怖がってる!」


美亜は得意気にそう言うと、ルナの方を見てにこりと笑った。


「黒崎君、ハルと楽しんでいってね」


「うん、ありがとう」


「じゃあ2人とも、行ってらっしゃ~い!」


ルナとハルはお化け屋敷に入っていった。

中は薄暗くてよく見えない。いつどこから何が出てくるのか分からない恐怖に、ルナは身震いした。

しかし、ハルの手前、あまり情けない声を上げるわけにもいかない。


(僕は悪魔……何も怖くない……)


そう念じていた矢先だった。


何かがルナの足を捕まえた。


「あそぼ……あそぼ……」


「ひぃっ……!?」


足元に気を取られていると、今度は目の前からひんやりした何かに襲われた。


「ひゃっ!?」


顔面に叩きつけられたそれに触ってみると、ぷるぷるとした感触があった。


(こ、これはこんにゃく……!落ち着くんだ僕!)


なんとか足を振り払い出口へ向かうルナ。しかしその腕を誰かが掴んだ。


「置いていかないでよルナ~……」


おどろおどろしい声の主はハルだったが、ルナの精神はもう限界だった。


「ぎゃーーー!!」


ルナの悲鳴が校舎中に鳴り響いた。



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