悪魔の僕は天使の君に恋をする
「あはは!ルナってばすごく怖がっちゃって……」


お化け屋敷から出てくるなり、ハルは笑い始めた。


「でも、決め手はハルだからね!」


「うんうん……ごめんって……」


笑うことを止めないハルを見て、ルナは恥ずかしくてそっぽを向いた。


(格好悪いな、僕……)


1人落ち込むルナを見て、ハルはぽんぽんとその背中を叩いた。
 

「可愛かったよ、ルナ」


そう言いながら笑うハルを見て、ルナはある不安に襲われた。


(もしかして僕、異性として意識されてないんじゃないか……?)


それは嫌だった。

ルナは気持ちの勢いに任せてハルの肩を掴んだ。
  

「る、ルナ?」
   

一体どうしたのかと戸惑うハルだったが、ルナは勢いのまま言った。


「僕は君にとって格好よくありたいんだけど!」


「え……」


目を丸くしたハルを見て、ルナはようやく我に返った。


「……あ」


慌ててハルから手を離し、距離を取った。

……最悪だ。格好悪いにもほどがある。


「ご、ごめん……」


「あ、うん……ボクも揶揄ってごめん……」


2人の間に気まずい空気が流れる。ルナは今すぐ家に帰りたかった。


「……気を取り直して、別の所行こっか。」


そう言ってハルは歩き出した。

ルナもそれについていこうとした、その時


「どいてどいて!」   


「うわっ!」


廊下の向こう側から走ってきた女子生徒とハルがぶつかってしまった。ハルは体制を崩し思い切り転んでしまう。 
 

「わ!ハルちゃんごめん!大丈夫?」


「うん……ちょっと足をひねったみたい」


「やだ、どうしよう……ハルちゃん劇もあるのに……ほんとにごめん!」


「いや、大丈夫……」


そう言いつつも、ハルの顔色は悪かった。ルナはいてもたってもいられず、ハルをお姫様抱っこした。


「ルナ!?」


「僕が保健室に連れていくよ」


それから、ルナは驚いた様子の女子生徒を見て言った。


「ハルは僕に任せて」


「は……はい!」


「ハル、保健室は?」


「階段を降りて右……」


「分かった」




< 55 / 120 >

この作品をシェア

pagetop