悪魔の僕は天使の君に恋をする
* * *

事故に遭ってから2週間が経とうとしていた。

車椅子生活にも慣れてきて、ルナは1人で病院の中を出歩けるようになっていた。


(車椅子に慣れたのはいいけど、暇だな……)


ルナが病院内を散歩してると、見覚えのある姿が、こちらに歩いてくるのが見えた。


(あれは確か……白神ハルさん!)


ルナの脳裏にあの日の光景が蘇った。

日の光を浴びてキラキラと輝いていたハルに見とれていた自分……

ルナは恥ずかしくなって首をブンブンと振った。


(普通に挨拶すればいいだけ……何も恥ずかしくない!)


ルナは思い切ってハルに声をかけた。


「あの!ひ、久しぶり!」


「あ、黒崎ルナ!久しぶりだね。」


「ハルさん、病院に用事?どこか悪いの?」


「ああ、入院してるんだ」


「え…!?」


ルナにはハルが病気には見えなかった。いや、見えないだけで本当はどこか悪いのかもしれない……

驚いたまま動かなくなっているルナを見て、ハルは事態を察して笑った。


「ボクじゃなくて、弟がね」


そういうと、ハルはルナの背後に回って車椅子を押し始めた。


「ハ、ハルさん……僕をどこに?」


「折角だし、弟のところに一緒に来てよ。あいつ、君のファンなんだ」


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