さよなら、片想い
本当はあの歌詞みたいに「好きだ」って言いたい。ナタリーのことを抱き締めたい。でも、ナタリーが一番幸せになれるのは俺の隣じゃない。俺じゃナタリーを幸せにできないってわかっているから、だから、胸がどんなに痛くても、苦しくても、笑って背中を押すよ。

「研二、ありがとう」

ナタリーはそう言い、走っていく。俺もこっそりあとを追った。俺が追いついた時、裏庭で渉とナタリーは想いを伝え合っていた。そして、両片想いだったことに驚いた後、二人は笑っていた。

ナタリーは、俺が今まで見た中で一番幸せそうな笑顔を見せていた。その笑顔は誰よりも綺麗で、まるで花みたいだ。

幸せそうな二人を見届けた後、俺はそっとその場を立ち去る。胸が痛くて、途中から泣きながら歩いていた。

ナタリー、渉のことで悩んだら何度だって君のために流れ星になって願い事を叶えるって約束するよ。だって君はーーー、

俺が、初めて心から幸せになってほしいと思った人だから。







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