私、お金持ちになっちゃいました!?
ボーッ……
無心で注文表とにらめっこ
「ちょっと千秋?なにしてんの?忙しいんだから手を動かしてよ!!」
クラスの子に半ばキレ気味に
言われて慌てて手を動かす
女装メイド喫茶は開店して
早くも噂の中心となった
美少女メイド2人を求めて
客足がひっきりなしにわんさか。
それでも私の顔は
すれ違いざまに言われた
綺羅の言葉を思い出すだけで
ボンッと顔が真っ赤になる
あんだけ、避けまくって
逃げまくってたのに…
好きだけど近づけなくて
あの人の元に行ってしまいそうで
怖くて側にいれない。
怖いから側にいたくない。
でも離れてほしくない
そんな矛盾で訳分からない
感情が身体中を駆け巡る
ふと時計をみると
休憩時間まで後少し
さすがにこれ以上
モタモタしてたら
今度こそ間違いなく
怒られると思った私は
一切の考えを頭から追い出し
残りの仕事に集中したーーー。
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「あ、千秋。お疲れ様!休憩してきていいよ」
ピークを過ぎたのか客足はまばらに。
さっきより注文減った気がする!!
「分かった!ありがと」
そう言ってエプロンを外していると
何やら教室内が一気に騒がしくなる
女子は裏方でドリンクやら
料理やらを作っているので
衝立の向こう側に行かないと
正直男子がどんな風に積極
しているかなんてわからない
私はその騒がしさにつられて
衝立の向こうに姿を現した
その瞬間
ドクン
心臓が嫌な音を立てたーーーーー。