私、お金持ちになっちゃいました!?
「綺羅!連れてきてくれてありがと!」
子供みたいに走り回って
辺り一面眺めながらはしゃぐ私
「おい、あんま走んなよ…転ぶぞ」
「大丈夫だって!!…わっ!」
言われたそばから小石に躓き
転びそうになる私を綺羅が
慌てて受け止める
「だから言っただろーが」
呆れ顔で私を見下ろすけど
やっぱり綺羅はなんだか嬉しそう
「ごめん」
苦笑いで謝り
どちらからともなく
その場に座り込む
そしてしばしの沈黙
「綺羅…今日は連れてきてくれてありがと」
その沈黙を破ったのは私
「ん」
綺羅は短く返事をして
その視線は夜空を見ていて
私はそんな綺羅を横目でチラり
そしてまたいつもと違う雰囲気に
胸がドキドキと高鳴る
普段は優しそうな面前をしていて
実は冷酷で口悪くて意地悪
けど、最近は子供っぽさが出たりして
無邪気に笑ったりする姿は本当に
可愛くて大好き。
けれど今日は凄い大人だ…
凛としたその横顔は星の輝きのように
キラキラ眩しくて…風でサラッと
揺れる黒髪がまた大人っぽい…
いや…実際大人なんだけど…
でもなんだかちょっと遠くにいるような
気がしてしまって
「綺羅が先生じゃなかったら良かったのに」
気づいたら口をついて出ていたーーー。