私、お金持ちになっちゃいました!?
綺羅は私の方を見ずに
ずっと玄関先で立っている
人物に目を向ける
私の視線もその人物を捉えた
40代半ばぐらいだろうか
綺麗な黒髪をアップのお団子にしてて
マーメイドドレスにヒョウ柄の
モコモコのコートを羽織っている
いかにもマダムって感じの人が
ニヤニヤしながら私を見た
「あら?貴女が千秋さんかしら?」
そのマダムは私の姿を見るなり
ニヤニヤと怪しい顔つきで
聞いてくる
私が、そうですけど…
って答えるより先に
「なんで、でめぇが千秋のこと知ってんだよ!今度は何しに来たんだよ!?てか、よくも堂々と俺の前に姿を現せたな!!」
怒りと憎しみと悲しみが
入り交じったような声で
マダムを睨みつける綺羅
「ほーんと、昔と変わらないわねぇ、その減らず口。吐き気がするわ。でも来て良かった…ここに貴女がいる事がわかったから。近いうちに千秋さんに素敵なお話を持ってくるわね」
そう言ってニヤリと笑うと
そのまま身を翻し、帰って行ってしまった。