私、お金持ちになっちゃいました!?
「あのさ…まぁ、見たと思うけど…」
「え?あ、あぁ…あのマダムみたいな人?」
一瞬、綺羅の言葉にハテナを浮かべたが
すぐにマダムのことだと理解した私は
首を傾げながら尋ねる
「ぷっ…マダム……。あの…あれ一応、俺の母親」
一瞬、吹き出しそうになった綺羅が
なんとか抑えて会話を続ける
私は呑気にへぇ…あれがお母さん…
なんて思って…ってえぇえええええ!?
「お母さん!?」
あまりの驚きに目を見開いて
口をあんぐり開けたまま停止
「千秋、ぶっさいく」
「ねぇ、いまそこ言わなくてよくない!?」
「うそうそ…。」
それまで優しかった目付きが
鋭いものに変わる
私はその雰囲気が
ただ事ではないと悟り
ゴクリと生唾を呑み込んだ
「あの人には絶対会わないで。どんなことがあっても…極力…俺も気をつけるけど。」
「え…だって…でも…お母さんなんでしょ?」
「いや…。血が繋がってるだけで…俺はあの人のこと母親だなんて思ったことねーし…あの人も俺を息子だなんて思っちゃいねーよ」
そう言うと綺羅はとても
悲しそうに笑った…
あ、もしかして…
綺羅がこうなったのって…
「もしかして…綺羅の人嫌いって…」
「そうだよ。あいつのせいだよ…まあ、親父のせいでもあるけど…俺、ずっと母親から虐待受けてたんだ小さい頃。」
悲しそうに苦しそうに
顔を歪ませて話す綺羅に
なんて声をかけていいかわからず
ただ、その小さく縮こまっていく
心を助けたくて思い切り抱きしめたーーー。