私、お金持ちになっちゃいました!?



けど…あの温泉旅行の日
たまたま見てしまった光景に
唖然としたのを今でも
ハッキリと覚えてる



なんで…どうして?
いつの間に?



尊じゃない別の奴と?



なんでいきなり現れたあいつが
千秋の心を独り占め
してるんだーーーーー?



そう思った時には
体が勝手に動いて
証拠撮っていて…



「旅館でぶつかったとき…全くの他人ですみたいな顔してたな…ねえ、千秋…そいつが千秋の心を手に入れられるなら…俺にも尊から奪うチャンスはあった?」




誰もいない夜道に
ひとり佇んで悲痛の
声を漏らす



あーもう。
馬鹿じゃん。



勝手に決めつけて
逃げ腰になって
俺なんかどうせって
自分を蔑んで
体穢して……



わざわざ好きじゃないなんて
言い聞かせたところで
こうやって傷ついたり
望みはある?なんて
思ってる時点で



「なんだ…まだ全然千秋のこと大好きじゃん」



ぐしゃっと自分の
胸元あたりの服を掴む



苦しい苦しい苦しい
逃げてた自分のせいなのに
でも、どうしても無性に
千秋が欲しくなって



俺はさらに深いドン底まで
見事に綺麗に堕ちてゆく…。
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