私、お金持ちになっちゃいました!?
そこからはもう必死だった。
今思えばすげー最低なこと
してたなってわかるのに…
窓際で夜風に当たりながら
ところどころ端折りまくった
俺との馴れ初めを聞いて
目をぱちくりさせる千秋
「嘘…マジか。え…先輩ごめんなさい…私全然覚えてなくて」
そう言って千秋はオロオロして
あちらこちらへ目を泳がせる
「大丈夫だよ…覚えてないの分かってるから」
俺は精一杯の笑顔を
千秋に向ける
「ごめんなさい…!!でも私……っ!」
ワンピースの裾をぎゅっと握って
ちょっとだけ顔を歪めた千秋が
勢いよく謝り…さらに言葉を続ける
「言わないで…分かってるから」
俺はその聞きたくない言葉を
言ってしまいそうな千秋の口に
自分の手で蓋をした。
君の口からあいつの名前が出る度に
君の心があいつから離れないことに
黒い感情が渦巻いて俺を支配する
それ以上…言わないで
分かってるから
これ以上…俺を深い闇に
突き落とさないで…
このままだと君に何か
取り返しのつかないことを
してしまいそうで凄く怖い。